2026/10/02
「毎月なんとなく忙しいのに、通帳のお金が増えていかない」「決算は税理士さんに任せているので、自分の店がもうかっているのか、実はよく分からない」。飲食店のオーナーさんから、こうしたお話をよくうかがいます。 決算書は1年に1回しか出てきません。1年たってから「赤字でした」と分かっても、手を打つには遅すぎます。そこで役に立つのが、毎月お店の数字をまとめて確認する「月次決算」です。この記事では、むずかしい会計の知識がなくても始められる、月次の数字の見方をやさしく説明します。
月次決算とは? なぜ飲食店に必要なのか
月次決算とは、1か月ごとに売上と経費をしめて、「今月はいくらもうかったのか(または足りなかったのか)」を確かめることです。年に1回の決算を、毎月の小さな決算に分けるイメージです。 飲食店は、季節や天気、近くの行事などで売上が大きく動きやすい商売です。食材の値段も変わります。毎月数字を見ていれば、「先月から原価が上がっている」「人件費がふくらんでいる」といった変化に早めに気づき、すぐに手を打てます。 なお、税務上の正式な処理や帳簿の付け方は、顧問の税理士さんに確認してください。ここでお伝えするのは、オーナーご自身がお店の「健康状態」を知るための見方です。
まず見るべき5つの数字
月次で見る数字は、最初は次の5つで十分です
| 見る数字 | 意味 | 見るポイント |
|---|---|---|
| 売上高 | その月に入ったお金の合計 | 前年同月・先月と比べてどうか |
| 客数 | 来店されたお客様の数 | 売上の増減が客数のせいか |
| 客単価 | 売上高 ÷ 客数 | 1人あたりの注文が変わっていないか |
| 原価(F) | 食材・ドリンクの仕入れ | 売上に対して何%か |
| 人件費(L) | アルバイト代・給料など | 売上に対して何%か |
売上は「客数 × 客単価」に分けて見るのがコツです。売上が下がったとき、お客様の数が減ったのか、1人あたりの注文が減ったのかで、打つ手がまったく変わるからです。
原価率と人件費率、FL比率の見方
原価(F=Food)と人件費(L=Labor)は、飲食店の経費の中でいちばん大きな2つです。この2つを合わせて売上で割ったものを「FL比率」と呼びます。
- 原価率 = 原価 ÷ 売上高 × 100
- 人件費率 = 人件費 ÷ 売上高 × 100
- FL比率 =(原価 + 人件費)÷ 売上高 × 100
FL比率は、一般的な目安として60%前後といわれることが多いですが、業態やお店のやり方によって大きく変わります。大切なのは、目安に合わせることよりも、**自分のお店の数字が毎月どう動いているか**を見ることです。
ひとつ注意があります。原価は「その月に仕入れた金額」ではなく、「その月に使った分」で見るのが正確です。月末に冷蔵庫や倉庫に残っている食材を数える「棚卸し」をすると、使った分が分かります。
- 使った原価 = 月初の在庫 + その月の仕入れ - 月末の在庫
棚卸しをしないと、月末にまとめて仕入れた月は原価率が高く見え、在庫を使い切った月は低く見えてしまいます。
「もうけ」と「手元のお金」は別もの
月次の数字で黒字なのに、お金が足りなくなることがあります。これは、利益と現金の動きがずれるからです。たとえば、次のようなお金は月々の経費には出てこなかったり、出るタイミングがずれたりします。
- 借入金の返済(元金の部分)
- キャッシュレス決済の入金までの日数
- まとめて払う税金や保険料
- 設備の買い替え
そのため、月次決算では利益だけでなく、**月末の預金残高**もあわせて記録しておきましょう。「利益は出ているのに残高が減っている」と気づいたら、資金繰りを見直すサインです。
前年同月と比べる、3か月の流れで見る
数字は1か月分だけを見ても、良いのか悪いのか判断しにくいものです。比べ方は2つあります。
1. **前年の同じ月と比べる**:季節の影響を受けにくく、本当の変化が分かります。
2. **3か月ほどの流れで見る**:1か月だけの上下に一喜一憂せず、上向きか下向きかが分かります。
同じ業種のほかのお店と比べたいときは、日本政策金融公庫が公開している「小企業の経営指標調査」が参考になります。飲食店・宿泊業も対象になっていて、業種ごとの指標を見ることができます。ただし、あくまで全国の平均的な数字なので、立地や業態の違いを考えながら参考にしてください。
明日からできる月次決算の5ステップ
むずかしく考えず、次の手順で始めてみてください。
1. **毎日の売上と客数を記録する**:レジやPOSの日報をそのまま使えば大丈夫です。
2. **仕入れの請求書を月ごとに1か所にまとめる**:箱やファイルを1つ決めるだけでも違います。
3. **月末に棚卸しをする**:最初はおおまかでもかまいません。毎月同じやり方で続けることが大切です。
4. **月初めの1週間以内に、5つの数字を1枚の表に書き出す**:売上高・客数・客単価・原価率・人件費率に、月末の預金残高を加えます。
5. **気づいたことを1行メモして、来月やることを1つ決める**:数字を見るだけで終わらせないのがポイントです。
最初から完璧を目指す必要はありません。3か月続けると、自分のお店の「いつもの数字」が見えてきます。
数字に気になる変化があったら
原価率が急に上がった、客数が何か月も続けて減っている、残高が少しずつ減っている。そんな変化に気づいたら、早めに原因を探すことが大切です。原因はメニューの構成、仕入れ先、シフトの組み方など、お店ごとにちがいます。
ひとりで考えるのが大変なときは、顧問の税理士さんや、地域の商工会・商工会議所などに相談するのもよい方法です。数字を一緒に見てくれる相手がいると、気持ちもずいぶん楽になります。
まとめ
月次決算は、お店の健康診断のようなものです。売上・客数・客単価・原価率・人件費率の5つと、月末の預金残高を毎月同じ形で記録し、前年同月や3か月の流れと比べてみましょう。大切なのは、完璧さよりも続けることと、数字を見て「来月やること」を1つ決めることです。
当社では、商工会の経営指導員として長年多くの飲食店の経営改善を支援してきた経験をもとに、数字の見方から改善の進め方まで、オーナーさんと一緒に考えています。
▶ まずは無料で、お店の課題をチェック[[cuguru 無料AI経営診断を試す](https://udify.app/completion/lU90PIOsQTKJZG7c)]
▶ じっくり相談したい方は[[初回オンライン個別相談の空き枠を確認する](https://timerex.net/s/vistainnovate.2024_2207/71bb301f)]

