飲食店開業の準備スケジュール
2026/10/28
「お店を開きたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」「気づいたら開店日が迫っていて、手続きが間に合うか不安」。開業を考えはじめた方が、最初に立ち止まりやすいところです。
飲食店の開業は、物件、お金、内装、メニュー、許可や届出など、やることがたくさんあります。しかも、順番を間違えると「工事をやり直す」「予定日に開店できない」といったことにもつながります。
この記事では、開業までの準備を時期ごとに分けて、やることの順番を整理します。商工会の経営指導員として30年、数百件の飲食店の経営改善に関わってきた立場から、つまずきやすいところもあわせてお伝えします。
開業準備は「逆算」で考える
まず大切なのは、開店日から逆算して予定を立てることです。準備期間はお店の規模や物件の状態によって大きく変わりますが、一般的な目安としては、構想から開店まで半年〜1年ほど見ておくと、あわてずに進めやすくなります。
ここでは、次の5つの時期に分けて考えます。
| 時期(一般的な目安) | 主にやること |
|---|---|
| 開店の12〜6か月前 | コンセプト決め、資金計画、情報集め |
| 開店の6〜3か月前 | 物件探し、事業計画書、融資の相談 |
| 開店の3〜1か月前 | 内装工事、保健所への事前相談、メニュー決め |
| 開店の1か月前〜直前 | 営業許可の申請、各種届出、スタッフ準備、試し営業 |
| 開店後 | 税務署への届出、数字の振り返り |
開店の12〜6か月前:コンセプトとお金の土台をつくる
最初の時期は、「どんなお店を、だれに向けて、いくらで出すのか」を言葉にする時間です。ここがあいまいなままだと、物件も内装もメニューも決めきれません。
あわせて、手元の自己資金と、必要になりそうなお金をざっくり書き出しておきましょう。物件取得費、内装・設備費、最初の仕入れ代、そして開店後しばらくの運転資金です。売上が安定するまでの生活費も忘れずに入れておくと安心です。
この時期にやること
- お店のコンセプトを一文で書いてみる
- 客単価と、1日に来てほしいお客様の数を仮に決める
- 自己資金と、借りる必要があるお金を書き出す
- 地元の商工会や商工会議所などで、開業の相談先を確かめておく
開店の6〜3か月前:物件と資金調達を決める
物件が決まると、工事の内容や開店日が具体的になります。契約の前に、厨房に必要な設備が置けるか、給排水やガス、電気の容量が足りるかを確かめておきましょう。
ここで一つ大事なのが、物件の契約や工事の前に、保健所に相談しておくことです。島根県の保健所の案内では、工事に入る前に図面などを持って、施設の基準に合っているかを相談するよう示されています。あとから基準に合わないと分かると、工事のやり直しにつながりかねません。
融資を受ける場合は、事業計画書をつくって金融機関に相談します。審査には時間がかかるため、物件探しと並行して進めるのがおすすめです。
開店の3〜1か月前:工事・メニュー・資格の準備
内装工事が始まったら、並行してメニューと仕入れ先を決めていきます。1品ごとの原価を計算しておくと、値付けで迷いにくくなります。
また、お店には食品衛生責任者を置く必要があります。資格がない場合は、養成講習会を受けることになります。講習の日程は限られていることもあるので、早めに確認しておきましょう。
客席の数が多いお店では、防火管理者が必要になる場合があります。飲食店では、お客様とスタッフを合わせた収容人員が30人以上の場合に選任が必要とされています。お店の規模で当てはまるかどうかは、管轄の消防署に確かめてください。
開店の1か月前〜直前:許可と届出をそろえる
この時期は手続きが重なります。主なものを表にまとめました。細かな期限や書類は地域によって違うことがあるため、それぞれの窓口で確認してください。
| 手続き | 窓口 | 期限などのポイント |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可の申請 | 管轄の保健所 | 島根県の保健所の案内では、施設検査日の1週間前までに申請し、許可証の交付は検査日から1週間程度が目安 |
| 防火対象物使用開始届出 | 管轄の消防 | 松江市の案内では、使用を開始する日の7日前まで |
| 深夜酒類提供飲食店営業の届出(該当する場合) | 管轄の警察署 | 午前0時〜6時にお酒を出して営業する場合。営業を始める日の10日前まで(通常主食と認められる食事を出すお店は届出不要) |
特に気をつけたいのが営業許可です。島根県の保健所の案内でも、検査の結果によっては予定日までに許可が出ないことがあると書かれています。開店日は、許可が下りる時期に余裕をもたせて決めるのが安心です。なお、松江市は平成30年4月に中核市へ移行しているため、松江市内で開業する場合は市の窓口も確認しておきましょう。
あわせて、スタッフの採用と練習、レジや決済の準備、知り合いを招いた試し営業もこの時期に行います。試し営業では、料理を出すまでの時間や、動線のむだを確かめておくと、本番で慌てずにすみます。
開店後:税務署への届出と数字の振り返り
個人で開業した場合は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を出します。国税庁の案内では、提出は事業を始めた年分の確定申告期限までとされています。青色申告をしたい場合の「青色申告承認申請書」は、開業の日から2か月以内(1月1日〜15日に開業した場合は3月15日まで)が期限です。どちらを選ぶか、どんな書類が必要かは、税務署や税理士に確認してください。
そして、開店してからが本当のスタートです。最初の1〜3か月は、毎日の売上と客数、仕入れの金額を記録しておきましょう。計画とのずれに早く気づければ、手を打つのも早くなります。
明日からできる3つのこと
- 開店予定日を決めて、カレンダーに逆算の予定を書き込む(この記事の表をそのまま使ってかまいません)
- お店の所在地を管轄する保健所と消防の連絡先を調べておく
- 必要なお金を「開業前」と「開業後の運転資金」に分けて書き出す
まとめ
飲食店の開業準備は、やることの多さよりも「順番」と「余裕」が大切です。コンセプトとお金の土台を固め、物件の契約や工事の前に保健所へ相談し、許可や届出の期限から逆算して開店日を決める。この流れを押さえておくだけで、準備はぐっと進めやすくなります。
ひとりで抱え込まず、分からないことは早めに専門家や公的な窓口に相談しながら進めていきましょう。
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