飲食店のABC分析のやり方
2026/10/14
「メニューが多すぎる気がするけれど、どれを減らせばいいのか分からない」「よく売れているはずなのに、思ったほど利益が残らない」。飲食店のオーナーさんから、こうしたお悩みをよくうかがいます。
感覚だけでメニューを見直そうとすると、「この料理は思い入れがあるから残したい」「常連さんが頼むから外せない」と迷ってしまい、なかなか前に進みません。そんなときに役立つのが「ABC分析」です。今回は、エクセルや手書きのノートでもできるABC分析のやり方を、手順に沿ってやさしくご紹介します。
ABC分析とは?メニューを3つのグループに分ける方法
ABC分析とは、商品を売上などの大きい順に並べて、お店への貢献度が高いものから「A・B・C」の3つのグループに分ける方法です。
グループの分け方には決まった正解はありませんが、一般的な目安としては次のように分けることが多いです。
| グループ | 売上の累計構成比(一般的な目安) | 位置づけ |
|---|---|---|
| A | 上位から累計でおよそ70%まで | お店を支える主力メニュー |
| B | 累計でおよそ70〜90% | 主力を補うメニュー |
| C | 残りのおよそ10% | 見直しを考える候補のメニュー |
多くの場合、メニュー全体の一部の商品が売上の大部分を支えています。どのメニューがお店を支えているのかが数字で見えるようになるのが、ABC分析のいちばんの良さです。
準備するもの:まずは1か月分の「出数」と「売上」
ABC分析を始めるには、メニューごとの次の数字を用意します。
- メニュー名
- 1か月の出数(何皿・何杯出たか)
- 販売価格
POSレジを使っているお店なら、商品別の売上レポートから取り出せます。手書きの伝票のお店でも、1か月分の伝票を「正」の字で数えれば十分です。最初から完璧を目指さず、まずは1か月分で始めてみましょう。
ABC分析のやり方(5つの手順)
- メニューごとの売上を出す:「出数 × 販売価格」で、メニューごとの1か月の売上を計算します。
- 売上の大きい順に並べる:エクセルなら「並べ替え」で一度にできます。
- 構成比を出す:「そのメニューの売上 ÷ 全メニューの売上合計」で、全体に占める割合を出します。
- 累計構成比を出す:上から順に構成比を足していきます。いちばん下のメニューで100%になれば計算は合っています。
- A・B・Cに分ける:累計構成比が70%までをA、90%までをB、残りをCとします。
計算のイメージを、説明のための仮の数字でお見せします(実際のお店の数字ではありません)。
| メニュー | 売上 | 構成比 | 累計構成比 | グループ |
|---|---|---|---|---|
| メニュー1 | 40万円 | 40% | 40% | A |
| メニュー2 | 30万円 | 30% | 70% | A |
| メニュー3 | 15万円 | 15% | 85% | B |
| メニュー4 | 10万円 | 10% | 95% | C |
| メニュー5 | 5万円 | 5% | 100% | C |
売上だけでなく「粗利」でも並べてみる
売上で並べたABC分析だけでは、「よく売れているけれど原価が高く、利益があまり残らないメニュー」を見落としてしまうことがあります。そこでおすすめなのが、粗利(販売価格 − 原価)でも同じ手順で並べてみることです。
- 売上でも粗利でもAのメニュー:お店の柱です。品質と提供の安定を最優先にしましょう。
- 売上はAだが粗利は低いメニュー:原価の見直しや、一緒に頼まれやすい利益の出る商品との組み合わせを考えます。
- 売上は低いが粗利が高いメニュー:メニュー表での見せ方やおすすめの声かけで、もっと選ばれる可能性があります。
原価が分からないメニューがあれば、これを機に一品ずつレシピと仕入れ値から原価を出しておくと、ほかの見直しにも役立ちます。
分析結果をメニュー改善に活かすポイント
ABC分析は、表を作って終わりではありません。結果を見ながら、次のように具体的な行動につなげましょう。
- Aグループ:メニュー表の目立つ位置(左上や中央など)に置き、写真やひと言の説明をつけて選びやすくします。
- Bグループ:Aと組み合わせたセットや、季節の食材を使ったアレンジで出数を伸ばせないか考えます。
- Cグループ:すぐに外すのではなく、「仕込みの手間」「食材のロス」「ほかの料理と食材を共有しているか」を確認してから判断します。
Cグループでも、常連さんの来店のきっかけになっているメニューや、ほかの料理と食材を共有していてロスが出にくいメニューもあります。数字だけで機械的に決めず、お店の実情と合わせて判断することが大切です。
明日からできる3つのステップ
- 今日:先月1か月分の、メニューごとの出数と販売価格を書き出す
- 今週中:売上の大きい順に並べて、累計構成比からA・B・Cに分ける
- 来月:Cグループから見直す候補を2〜3品選び、Aグループの見せ方を工夫して、翌月の数字と比べる
ABC分析は、一度やって終わりではなく、3か月に1回など定期的に続けることで、季節による変化やメニュー改善の効果が見えてきます。
まとめ
ABC分析は、メニューを売上や粗利の大きい順に並べて、A・B・Cの3つに分けるシンプルな方法です。感覚に頼らず数字でメニューを見ることで、「何に力を入れ、何を見直すか」がはっきりします。まずは1か月分の出数を数えるところから、気軽に始めてみてください。
「自分のお店の数字でやってみたけれど、どう判断すればいいか迷う」という方は、お気軽にご相談ください。商工会の経営指導員として数百件の飲食店の経営改善を支援してきた経験をもとに、一緒に考えます。
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