飲食店の客単価を上げる方法
2026/10/16
「お客さんの数はそれほど減っていないのに、売上がなかなか伸びない」「値上げはしたいけれど、お客さんが離れるのが怖い」。飲食店のオーナーさんから、よくこんなお話をうかがいます。
売上は「客数 × 客単価」で決まります。客数を増やすには集客の手間と時間がかかりますが、客単価は、今来てくださっているお客様への伝え方やメニューの工夫で見直せる部分があります。今回は、お客様にきちんと満足していただきながら、無理なく客単価を上げる考え方と手順をまとめます。
客単価とは?まずは自分のお店の数字を知る
客単価は、次の式で計算します。
客単価 = 売上 ÷ 客数(来店されたお客様の人数)
レジやPOSで「組数」しか分からない場合は、「1組あたりの単価」でもかまいません。大切なのは、いつも同じ方法で数えて、変化を追いかけることです。
最初に、次の3つを分けて見てみてください。
- ランチとディナーの客単価
- 平日と週末の客単価
- 1人客、2人客、グループ客の客単価
全体の平均だけを見ていると、どこに伸びしろがあるのか分かりません。時間帯やお客様の種類ごとに分けると、「ディナーの2人客はドリンクが1杯で終わっている」など、手を打つ場所が見えてきます。
客単価を上げる3つの方向
客単価を上げる方法は、大きく分けると次の3つです。
| 方向 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1品の単価を上げる | より価値の高い商品を選んでもらう | 上位メニュー、こだわり食材のメニュー |
| 品数を増やす | もう1品追加してもらう | サイドメニュー、デザート、ドリンクのおかわり |
| 値付けを見直す | 価値に合った価格にする | 原価や手間に合わせた価格改定 |
この3つを、お店のコンセプトに合わせて組み合わせていきます。どれか1つに頼るのではなく、「お客様にとって、うれしい選択肢が増えているか」という目線で考えることが大切です。
メニュー表で「選びやすい上位商品」をつくる
メニューに価格帯の違う商品を3つほど並べると、多くのお客様は真ん中を選びやすい、とよく言われます。一般的に「松竹梅」の考え方と呼ばれるものです。
ここで大事なのは、上位の商品を「高いだけの商品」にしないことです。
- 上位の商品には、量が多い、食材が違う、小鉢が付くなど、違いがはっきり分かる理由をつける
- メニューには、違いを短い言葉で書き添える
- 一番売りたい商品は、写真や枠で目立たせる
お客様が「この差なら、こっちにしよう」と納得して選べる形にすることが、長く続く客単価アップにつながります。
「ひと声」と「セット」で、もう1品を自然にすすめる
もう1品を追加していただくには、スタッフのひと声がとても大切です。ただし、無理にすすめるとお客様は居心地が悪くなります。押し売りではなく、「知らなかったから頼まなかった」をなくすつもりで伝えましょう。
- 「今日は〇〇が入っています」と、その日のおすすめを具体的に伝える
- 料理に合うドリンクやサイドメニューを、1つだけ提案する
- 食後のタイミングで、デザートや温かい飲み物を案内する
あわせて、セットやトッピングも用意しておくと、お客様が自分で選びやすくなります。「+〇〇円で小鉢付き」「大盛り・トッピング」など、追加の内容と価格がひと目で分かるようにしておくのがポイントです。
値付けを見直すときに気をつけたいこと
原材料や光熱費が上がっているのに価格をそのままにしていると、お店の体力がだんだん削られてしまいます。値付けの見直しも、客単価を考えるうえで避けて通れません。
- 商品ごとに原価と手間を確認し、利益が出ていない商品から見直す
- 値上げするときは、理由や、大切にしている点(量や味は変えない、など)を正直に伝える
- お客様に知らせずに量や質を下げることはしない
お客様をがっかりさせる方法は、長い目で見ると信頼を失い、客数を減らしてしまいます。
また、国税庁の案内では、消費者に向けてあらかじめ価格を表示する場合は、消費税を含めた「税込価格」で表示する「総額表示」が義務付けられています。メニューを作り直すときは、表示のしかたも確認しておきましょう。税金の扱いで迷うことがあれば、税理士に相談してください。
明日からできる5つの手順
- 今の客単価を計算する:直近1か月分の売上と客数から、ランチ・ディナー別に客単価を出します
- よく出る商品と、もう1品の組み合わせを書き出す:レジやPOSの記録から、一緒に注文されやすい商品を確認します
- おすすめ商品を1つ決める:お店が自信を持っていて、利益も出る商品を「今月のおすすめ」にします
- スタッフと「ひと声」を決める:誰が言っても同じになるよう、短いおすすめの言葉を1つ決めて共有します
- 2週間後に数字を見直す:客単価と、おすすめ商品の注文数がどう変わったかを確認し、言葉や見せ方を調整します
一度に全部を変える必要はありません。1つずつ試して、数字で確かめることが大切です。
客単価だけを追いかけない
客単価が上がっても、お客様が「高くなったな」と感じて来店の回数が減ってしまっては意味がありません。客単価を見るときは、客数や、リピーターの様子もあわせて確認しましょう。
目指したいのは、「この値段なら満足」と感じていただける状態です。料理の味、接客、お店の雰囲気を含めた「お店の価値」を高めることが、いちばん確かな客単価アップの道です。
まとめ
- 客単価は「売上 ÷ 客数」。時間帯やお客様の種類ごとに分けて見る
- 上げ方は「1品の単価」「品数」「値付け」の3つの方向で考える
- メニュー表の工夫と、スタッフのひと声で、お客様が納得して選べる形をつくる
- 値上げは正直に伝え、お客様に知らせずに量や質を下げることはしない
- 客単価と一緒に、客数やリピーターの様子も確認する
私は商工会の経営指導員として30年、数百件の飲食店の経営改善をお手伝いしてきました。「うちの店では、どこから手をつければいいのか」と迷ったときは、お気軽にご相談ください。島根・中国地方は対面でも、全国どこからでもオンラインで対応しています。初回相談(30分)は無料です。
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